猛暑に負けないバラ選び!2026年春に満開を迎えた13品種のリアルな花持ちと育て方レビュー
バラの花が1年で最も美しく咲き誇る春の季節がやってきました。私の庭でも、地植えのつるバラを中心に多くの品種が一斉に開花し、まるでバラ園のような景色が広がっています。しかし、バラをたくさん育てている愛好家、いわゆるロザリアンの日常は、世間一般の優雅なイメージとは程遠く、毎日が時間と体力との戦いです。
今回は、2016年にバラの魅力に取り憑かれて以来、庭をひたすらバラ仕様へと改装し続け、2026年春の時点で116種141株を数えるまでになった私の経験をもとに、満開を迎えた13品種のリアルなレビューをお届けします。近年は春先の気温が非常に高く、猛暑とも言える直射日光にさらされるため、バラたちの「花持ち」や開花のスピードがこれまでとは大きく変わってきています。カタログのスペックだけでは分からない、実際に我が家の庭で育てて分かった各品種の特徴や魅力、そしてちょっとした育て方のコツを、一般の園芸好きの視点から包み隠さずお話しします。
これからバラを庭に迎えたいと考えている方や、どの品種を買おうか迷っている方の参考になれば幸いです。
優雅とは程遠い?バラ141株を育てるオタクの過酷な朝のルーティン
バラがたくさん咲いている庭を眺めて、のんびりとコーヒーを飲む。そんな優雅な朝を過ごせたら最高なのですが、現実はそうはいきません。私の朝は日の出とともに始まります。ジジイだから朝早く目が覚めるわけではありません。1年で最高の時期だからこそ、この満開の美しさを維持し、その姿をきれいに記録に残すために、早起きして庭という名の戦場へ向かわなければならないのです。
腰痛ヘルニアとの付き合い方と絶対の掟
庭仕事に入る前に、私には絶対に欠かせない聖なる儀式があります。それは、長年患っている椎間板ヘルニアのためのコルセットを腰にしっかりと巻くことです。これは我が家の絶対の掟であり、これを忘れて中腰の作業をしようものなら、そのシーズンすべての庭仕事が強制終了してしまいます。コルセットをバリバリと締め直して、ようやくハサミを持って庭に出る準備が整います。
咲き始めの時期はまだ精神的にも体力的にも楽なのですが、開花が中盤戦に入ってくると、彼女たちの落とし物、つまり散らばった花びらの掃除と花がら切りが半端ない量になってきます。我が家は現在、地植えが84株、鉢植えが57株あり、そのうち主力であるつるバラが90株、木立バラが51株という構成です。これだけの株が一斉に花びらを散らし始めると、庭中が大変なことになります。花びらをそのまま放置しておくと、見た目が悪いだけでなく、地面で蒸れて病気の原因になってしまうため、ロジカルに考えても毎日の掃除は絶対にサボれない必須の作業なのです。
家事とバラのお世話に共通する驚きの「あるある」
実は、毎日の家事とバラのお世話には、驚くほどたくさんの共通点があります。バラが満開の時期は、この家事とバラのトリプルパンチが午前中に容赦なく襲いかかってきます。
例えば、洗濯物と散った花びら。どちらも、さっき片付けたばかりなのに、気づけばなんでまたこんなに増えているの、と言いたくなるほどキリがありません。脱衣所に転がっている家族の靴下を拾い集めるのも、庭に落ちたアンナ・フェンディの大きな花びらを1枚ずつ拾い上げるのも、やっていくうちになんだか同じような業、重労働のように思えてきて、思わず笑ってしまいます。
さらに、朝食作りと水やりもそっくりです。高齢の同居している母親からは、今日のトーストは焼きすぎよ、と朝から小言を言われ、庭に出ればバラの彼女たちから、お水が足りないわ、早くくれないと萎れてあげる、と言わんばかりの無言の圧力をかけられます。母は庭仕事を一切手伝ってくれない割に口だけは出すので、始めることすべてに否定的な文句から始まるのがちょっと面倒なのですが、それを受け流しながら作業を進めるのもロザリアンの必須スキルです。
ゴミ出しの日には、日常の生活ゴミの袋と一緒に、剪定したつるバラのシュートを、トゲに刺されて痛い思いをしながらゴミ袋へぎゅうぎゅうに詰め込む作業が加わります。これらすべての家事と庭仕事を午前中に終わらせるためには、昭和の教育を受けた世代特有の、無意識の論理的でない根性論的思考をフル稼働させて、がむしゃらに早起きして動くしかないのです。
妥協を許さない「執念の撮影3周コース」の舞台裏
朝のルーティンの中で、最も時間と体力を奪われるのが動画や写真の撮影作業です。満開の時期になると、撮影だけでたっぷり3時間はかかってしまいます。なぜそんなに時間がかかるのかというと、庭を計3周して、それぞれ異なる機材と方法で撮影を行わなければならないからです。
1周目は、スマートフォンやiPadを使ったショート動画用の縦動画撮影です。今まさにきれいに咲いている彼女たちの旬の表情を、手軽にテンポよく切り取っていきます。
2周目は、4Kの高画質で残すための横動画撮影です。これはカメラを重いジンバルに載せて、画面がブレないように慎重に歩きながら撮影するのですが、このゆっくりとした中腰の動きがヘルニアを患う私の腰をダイレクトに直撃します。一歩歩くごとに腰が悲鳴を上げますが、1年間の苦労が報われる今だけの瞬間なので、ここは効率重視の私であっても絶対に妥協できない聖域なのです。
そして最後の3周目は、望遠レンズを付けた三脚での撮影です。我が家の庭は、オベリスクやアーチ、パーゴラなどの大型構造物につるバラを仕立てて、空間を覆い尽くすような景観を目指しています。そのため、見上げるような高い位置で誇らしげに咲いている彼女たちの表情をきれいに捉えるためには、どうしても大きくて重い機材を担いで庭中を右往左往しなければなりません。
機材が大がかりになるためどうしても時間がかかりますが、今しか見られないバラたちの最高の瞬間を映像で切り取ることは、バラオタクとしての義務であり使命だと感じています。最近の園芸界のトレンドは、大型のつるバラよりも、場所をとらないコンパクトできれいな樹形のバラが流行りで、販売されている苗もそういうものが主流です。その理由もよく分かりますし共感もできるのですが、それはそれとして、やはり圧倒的な花数で空間全体を覆い尽くすダイナミックなバラの景観が、私は理屈抜きで大好きなのです。
空間を覆い尽くす庭造り!つるバラの誘引と色彩設計のコツ
私のバラ栽培のゴールは、単にたくさんの品種を集めるコレクション目的の収集ではありません。園芸家のポール・スミザーさんに憧れて著書をたくさん読み、極力無駄な作業を無くして生産性を高めつつも、ガーデンデザイン全体の中にバラが溶け込むような、ナチュラルで調和のとれた庭造りを目指しています。
限られた庭のキャパシティの中で、いかにして美しい空間を作るか。そのためには、冬場のつるバラの誘引作業と、春の開花を見据えたロジカルな色彩設計が極めて重要になります。
例えば、ただバラを植えるだけでなく、隣り合う品種同士の開花時期が重なったときの色のグラデーションや、背後に植えた植物との組み合わせを計算します。さらに、バラだけでなくクレマチスや宿根草、アジサイなどを組み合わせることで、バラの美しさをさらに引き立てる工夫をしています。特に黄色やオレンジといった私好みの暖色系のバラに対して、紫色のクレマチスなどを近くに配置する補色関係の演出は、お互いの色を鮮やかに引き立て合うため非常に効果的です。
それでは、こうした私の庭造りのこだわりが、2026年春にどのような形で結実したのか、満開を迎えた13品種のリアルなレビューとともに詳しく解説していきましょう。
2026年春・満開のバラ13品種 リアルな特徴と育て方レビュー
ここからは、今年の厳しい気候を乗り越えて見事に我が家で咲き誇ってくれた、選りすぐりの13品種を順番にご紹介します。今回は私の大好きなデビッド・オースチンのイングリッシュローズのグループからスタートして、それぞれの個性や今年の花持ちのリアルなデータを解説していきます。
① ジュード・ジ・オブスキュア
イングリッシュローズの中でも、まさに香りの王様と呼ぶにふさわしいのがこのジュード・ジ・オブスキュアです。1995年作出のデビッド・オースチンの名名品種で、我が家では空間を埋めるつるバラ仕立てとして主戦力になってもらっています。
今年2026年は例年になく開花が非常に早く、5月13日の時点ですでに満開を迎えました。その香りの密度は半端ではなく、庭の空気が甘く重く停滞するほどで、ただ庭に立って呼吸をしているだけで幸せな空間に包まれます。今年は開花が早かったおかげで、隣に植えているこれまた早咲きの銘花ゴールデンセレブレーションと開花時期がピッタリと重なりました。この二つが合わさった一角の香りと、黄色からアプリコットへとつながるグラデーションの美しさは物凄いことになっており、まさに私が理想としていたバラ園の景観そのものです。花も大きく、コロンとした厚みのあるディープカップ咲きのフォルムが最高に可愛らしいです。
ただし、育てていく上で知っておくべき弱点もあります。それは、近年の日本の暑さには少し過酷すぎるという点です。これだけ素晴らしい花を咲かせてくれるのですが、いかんせんこの気温では花が3日ほどで終わってしまいます。一瞬の贅沢と割り切るにはあまりに惜しい至高の3日間ですが、この圧倒的な香りと美しさを体験してしまうと、花持ちの短さを差し引いても絶対に庭に迎えたくなる魅力を持っています。
② レディ・エマ・ハミルトン
イングリッシュローズの中でも特に私が惹かれるオレンジ系のバラを代表するのが、このレディ・エマ・ハミルトンです。2005年作出の木立バラで、我が家では遅咲きのオレンジ枠として重宝しています。
エマの魅力は、なんといってもその色気のある鮮やかなオレンジの花色と、それに対する銅葉の美しいコントラスト、そして強烈なシトラス系のフルーツ香です。我が家にある141株の中でも、この個性は唯一無二の存在感を放っています。雑誌New Rosesの新刊が出るたびに新品種のバラが欲しくなり、ついつい買ってしまうのを繰り返している私ですが、結局このエマの輝きを見ると、やっぱりこの子は外せないなと原点に戻されます。
しかし、今年2026年の5月は天気が良すぎて連日殺的な快晴が続いたため、彼女にとっては少し眩しすぎたようです。花持ちが非常にシビアで、咲き進むスピードがロジカルな計算を超えてとにかく早い。朝、あんなに美しく完璧に咲いていたのに、家事を一通り終えて洗濯物を干してから庭に戻ってくると、もう退色が始まっているというレベルです。そのため、今年の開花はわずか3日で潔く散ってしまいました。木立で樹形がやや横張り性になるためスペースの管理に少しコツがいりますが、この色と香りの素晴らしさは、短い開花期間であっても育てる価値が十分にあります。
③ コンテ・ドゥ・シャンパーニュ
こちらもデビッド・オースチンのイングリッシュローズで、2001年作出のコンテ・ドゥ・シャンパーニュです。我が家では半つる性の性質を活かして、アーチに絡めるつる仕立てにしています。
このバラの魅力は、黄色のコロッとした優しいフォルムのカップ咲きです。咲き始めはきれいなイエローなのですが、時間が経つにつれて徐々に色が抜けて白くなっていく、その退色の美しさがたまりません。主張しすぎない柔らかな色合いは、私の目指すポール・スミザーさんのようなナチュラルガーデンにおいて、全体のデザインに溶け込む素晴らしいアクセント、欠かせないピースになってくれます。
ただ、今年の異常な高温は、この繊細な彼女から完全に余裕を奪ってしまいました。本来ならもう少し長く楽しませてくれるはずなのですが、今年は気温が高すぎたせいで、なんとわずか2日でその幕を閉じてしまいました。まさに儚さの極致です。スピード感が早すぎて腰痛持ちの私の撮影スケジュールが追いつかないほどでしたが、それでも、この2日間の美しさのために1年間お世話をして待ったんだ、と思わせてくれる不思議な魅力がある、個人的にとても推せるバラです。
④ ミュリエル・ロバン
ここからはフランスのバラのご紹介です。こちらはフランスのオラール社が2005年に作出した木立バラ、ミュリエル・ロバンです。イングリッシュローズやオレンジ色のバラが大好物な私ですが、こうしたフランスの紫バラの気品にもとても惹かれます。
今年は株がしっかりと充実してくれたおかげで、大きな花が重なり合うようにたくさん咲いてくれました。紫系のバラに特有の上質で濃厚な香りも健在で、朝のゴミ出しルートの近くに配置しているのですが、トゲと戦うゴミ出しの時間を優雅な通り道に変えてくれる素晴らしい癒やし効果があります。
育て方のリアルな点としては、我が家での植え場所が非常に日当たり抜群なポジションであるため、近年の猛暑とも言える直射日光には少し苦戦気味です。この花もまた、あまりの暑さに耐えかねて3日ほどでその美しい花を散らしてしまいました。紫色のバラは性質が繊細で育てるのが難しいとよく言われますが、バラ塾の木村先生の動画で学んだ管理法を実践してからはシュートもよく出て非常に強健に育っています。この美しいモーブカラーは、我が家の限界キャパシティの庭においても、代えがたい高貴な庭の気品をしっかりと担保してくれています。
⑤ サムズ・アップ
こちらはイギリスのピータービールス社が2005年に作出した半つる性のバラ、サムズ・アップです。
サムズ・アップの最大の特徴は、鮮やかな黄色に赤い絞りが入るという、非常にインパクトのある個性的なお花です。今年は冬の誘引作業の際に、空間を覆い尽くす景観を作るために誘引場所をさらに広げて拡張したのですが、これが大正解でした。とにかく花数が前年比で激増し、見事なボリュームで咲き誇ってくれました。隣に植えている同じくデルバールの黄色のバラ、シャトー・ドゥ・シュベルニーとの色のコラボレーションが本当に見事で、今シーズンの我が家の庭のベストショットの一つと言えるほど良い感じに仕上がりました。
しかし、こちらのポジションも非常によく日が当たる場所のため、日当たり過多による暑さで花持ちはやはり3日と保たずに散り始めてしまいました。さらに困ったことに、散る時の花びらの量が半端ではありません。朝のルーティンでもお話しした通り、コルセットをギュッと締め直してしゃがみ込み、大量の花びらを拾い集めるのは腰痛持ちには大変な作業ですが、この見事な絞りと黄色いコラボの美しさを一度見てしまうと、そんな苦労も生産的な無駄、必要な作業だと自分を納得させることができます。
⑥ ラ・ドルチェ・ヴィータ
こちらはフランスのデルバール社が2012年に作出した木立バラ、ラ・ドルチェ・ヴィータです。イタリア語で甘い生活という名前を持つバラですが、我が家では鉢植えでコンパクトに管理しています。
このバラは、木立性のコロンとした可愛い黄色のカップ咲きで、小さめの花が房になって次から次へと賑やかに咲き誇ります。デルバールのバラらしく花つきの良さは圧倒的なのですが、今年の猛暑の中で何より驚かされたのが、その突出した花持ちの良さです。周囲のイングリッシュローズや他のバラたちが暑さのせいで2、3日でバタバタと散っていく中、このラ・ドルチェ・ヴィータはなんと1週間近くも美しい形のまま咲き続けてくれました。
小さめの花が房で咲くので、咲き進むと庭が一気に華やかになり、ロザリアンの心をこれ以上ないほど潤してくれます。極力無駄な作業を無くし、生産性を高めたいと考えている私のロジカルな庭作りにおいて、これだけ過酷な環境下で長持ちしてくれる存在は非常にありがたいです。世間一般の最近のトレンドが、扱いやすいコンパクトできれいな樹形のバラに流れているのも、こうした素晴らしい性能を目の当たりにすると、なるほどなと納得せざるを得ません。
⑦ ハニー キャラメル
こちらはオランダのインタープランツ社が作出したつるバラ、ハニー キャラメルです。我が家では大型構造物であるアーチに巻き付けて仕立てています。
ハニー キャラメルの魅力は、その名の通り輝くようなキャラメル色、いや、もはや蛍光オレンジと表現したくなるほど鮮やかで個性的な色彩です。小さめの愛らしいカップ咲きのお花が房になって鈴なりに咲くため、満開を迎えるとアーチ全体がコロンとしたお花まみれになります。この空間を埋め尽くす圧倒的なボリューム感は、バラ園のような景観を目指す私にとってまさに最高の景色です。
育ててみたリアルな感想としては、花持ちはかなり良い方で、この暑さの中でも5日はきれいな色と形を保ってくれます。咲き進むにつれてだんだんと花が大きく退色していくのですが、形がそれほど崩れずに最後まで保ってくれるのが非常に優秀なポイントです。アーチのような目立つ大型構造物を預けるつるバラには、これくらいタフで華やかな品種が本当に頼もしいですね。口うるさい母からは派手すぎると文句を言われそうな色彩ですが、このキャラメル色の美しいグラデーションは、私の庭のガーデンデザインには絶対になくてはならない必要な色なのです。
⑧ シャトー・ドゥ・シュベルニー
こちらはフランスのデルバール社が2016年に作出した半つる性のバラ、シャトー・ドゥ・シュベルニーです。YouTubeのバラ塾で宇都宮店長がマニアックに推奨されていたのを見て、凄く共感して購入を決めたのですが、これが大正解でした。
このバラは、少し淡い感じの優しいレモンイエローの花が、房になってこれでもかと咲き乱れます。満開時の花だらけになるボリューム感は、デルバール品種の中でもトップクラスの圧倒的なパワーを持っています。さらに非常に強健で、うどんこ病や黒星病などの病気知らず。無駄な薬剤散布の手間を極力減らしたい効率重視の私にとって、この抜群の耐病性の高さはロジカルな庭作りの本当に強い味方です。
ただ、そんな非の打ち所がない優等生な彼女であっても、2026年のこの強い直射日光には勝てなかったようで、本来の性能よりも花持ちが3日程度に短縮されてしまいました。そして、この子のもう一つの特徴が、散る時の勢いが凄まじいという点です。花びらを物凄く、一気にぶちまけるタイプなので、毎朝の通路の掃除が欠かせません。美しいけれど散り際の片付けに手がかかる、そんな少し我が家の母のような存在(笑)かもしれませんが、この見事な満開の花数を見せられると、すべてを許して喜んで掃除のハサミを握ってしまいます。
⑨ アンナ・フェンディ
こちらはイタリアのバルニ社が作出した半つる性のバラ、アンナ・フェンディです。イタリアの有名高級ファッションブランドの名前を冠した、なんともお洒落なバラですね。
お花は淡いアプリコットの美しいカップ咲きで、イタリアのバラらしい上品でありながらどこか力強い美貌を持っています。今年2026年の春は例年以上に一輪一輪の花が大きく育ってくれたおかげで、満開時の迫力は満点、圧倒されるほどの美しさでした。
ただ、この大輪に咲いてくれたことが今回は裏目に出てしまい、お花が全開になるとわずか2日ほどで速攻で散ってしまいました。まるでイングリッシュローズ並みの儚さです。とはいえ、このアンナ・フェンディという品種が全体として花持ちが絶望的というわけではありません。我が家の株をロジカルに観察してみると、サイズが標準的なお花や、他の植物の影になって直射日光が当たらない涼しい部分のお花は、4日くらいはきれいに保ってくれています。つまり、植える場所や配置の妙が問われる、ロザリアンの腕の見せ所なバラですね。場所さえうまく選んであげれば、この高貴なアプリコットは庭の格調を一段引き上げてくれるので、腰痛をおしてでも育てる価値がある、個人的にとてもお勧めのバラです。
⑩ リモンチェッロ
こちらはフランスのメイアン社が2008年に作った木立バラ、リモンチェッロです。我が家では今年から思い切って鉢植えから地植えへと切り替え、庭の主役である3連アーチの一角を任せることにしました。
このリモンチェッロを植えたアーチには、オースチンのブリングミーサンシャインやルタンデスリーズ、そして大好きなクレマチスのアフロディーテエレガフミナを一緒に絡めて誘引しています。この4種の混植混誘引が、今年の春、私の狙い通りに完璧に決まりました!輝くような黄色のリモンチェッロと、深みのある濃い紫色のクレマチス、アフロディーテエレガフミナ。この黄色と紫という補色関係が作り出す色彩のコントラストは、まさに計算通りの美しさ、ロジカルなガーデンデザインの完全な勝利です。
特にアフロディーテエレガフミナとは開花時期が見事なまでに重なってくれたおかげで、黄色いお花のシャワーの中に紫色の星が散りばめられたような、息をのむほど美しい景観が完成しました。尊敬するバラ塾の木村先生の教えを胸に、この調和を目指して1年間コツコツとお世話をしてきた甲斐が本当にありました。無駄のないタフな性質も含めて、今年の我が家の自慢の一角です。
⑪ ラ・レーヌ・ドゥ・ラ・ニュイ
こちらはフランスのデルバール社が2015年に作出したつるバラ、ラ・レーヌ・ドゥ・ラ_ニュイです。フランス語で夜の女王という意味を持つ、非常にドラマチックな名前のバラです。
その名にふさわしく、お花は赤と黒の絞りがランダムに入る、とにかく派手でかっこいい個性派です。我が家ではフェンスに広くつるを仕立てているのですが、今年は遅咲きのフロレンティーナがいつもより早めに咲き出してくれたおかげで、鮮やかな赤と、この深みのある赤黒の絞りという、贅沢な同系色グラデーションコラボが実現しました。さらにその上部では、濃い紫色のつるバラ、ソニャドールがなんとか踏ん張って残ってくれていたため、私の理想とする深みと陰影のある色彩設計が完璧な形で結実しました。
これこそが、単なるコレクションではなくガーデンデザインの調和に重きを置く、私のバラ栽培の最大の醍醐味です。ただ、この夜の女王様も今年の異常な暑さには少々参ってしまっているようで、例年に比べて花持ちが少し悪い気がします。満開を迎えてから3日もすると、そのドラマチックな花びらを地面にハラハラと落とし始めてしまいます。女王の謁見時間は非常に短い、だからこそ、ヘルニアの腰を犠牲にしてでも朝の3時間の撮影に執念を燃やす必要があるのです。
⑫ プロローグ
こちらはドイツのコルデス社が2017年に作出した紫色のシュラブローズ、プロローグです。
紫色のバラは一般的に病気に弱く育てるのが難しいという定説がありますが、ドイツのコルデス社のバラはとにかく耐病性がタフで強健です。我が家では今年、このプロローグを地植えに切り替えたのですが、地植えパワーが物凄く爆発し、花数が昨年とは比べものにならないほど大幅に増量してくれました。パーゴラの低い位置を、これまた大好きな名花オデュッセイアと一緒に完璧なボリュームでカバーしてくれています。
さらに心憎いことに、手前にはプラムパーフェクトとノヴァーリス、上部にはラベンダーブーケとつるシャルル・ド・ゴールが咲き誇り、我が家の庭に夢のような紫の聖域が出現しました。これらが合わさったコルデス紫四姉妹を中心とする紫地帯は、今、間違いなく我が家で最高の状態、私の情熱とロジカルな土作りの結晶です。紫バラの弱さを克服したコルデス社の高い技術力には、ただただ脱帽するばかりです。
⑬ アレキサンドラ・ダビッド・ニール
最後にご紹介するのは、フランスのデルバール社が2022年に作出した比較的新しいニューフェイス、アレキサンドラ・ダビッド・ニールです。
お花は紫がかった深みのあるピンク色で、波打つような花弁がぎゅっと詰まって咲く、なんとも高貴で美しい佇まいを持っています。我が家では大人気のつるバラ、レイニーブルーと一緒にアーチへ誘引して仕立てているのですが、これが実に素晴らしい調和を見せてくれました。レイニーブルーよりも本来は遅咲きなのですが、今年は運良く開花時期が重なり、さらに足元ではクレマチスのプリンセスダイアナも鮮やかに咲き出して、私の理想とする完成形の景色へ一気に近づきました。
このアレキサンドラを育ててみて特筆すべきは、そのポテンシャルの高さ、性能の素晴らしさです。春のお花が驚くほど密に詰まってたくさん咲くくだけでなく、この過酷な暑さの中でも花持ちが抜群に良いのです。周囲のバラがバタバタと散る中、彼女は1週間くらいは余裕で持ちそうな健気な気配を見せており、隣のレイニーブルーと比較しても遥かに強靭です。最新品種の進化の凄さを、栽培経験者の視点からもロジカルに実感させてくれる、これからとても楽しみな一株です。
まとめ:ロザリアンがバラ沼から抜け出せない理由と秘かな本音
ここまで、2026年春の我が家の庭で満開を迎えた13品種のリアルな姿をご紹介してきました。
撮影にたっぷり3時間、晴れたら毎日の必須作業である水やりに1時間、さらに大量に散り積もる花びらの掃除や日常の家事。バラが満開の1年で最高の時期とはいえ、実際のロザリアンは美しさに浸って悦に入っている暇なんてほとんどありません。体はクタクタ、ヘルニアの腰は悲鳴を上げています。
ここで、お世話に追われる管理者の秘かな本音を少しだけお話しします。バラが開花している大切な時期に、お花が痛むような雨は降ってほしくないのが当然の本音です。ですが……連日の猛暑と過酷な作業が続くと、雨が降った朝に、あぁ、今日は雨だから花びらの掃除も、3時間の執念の撮影もしなくていいんだ、と心の底からちょっとだけ、ほんのちょっとだけホッとしてしまう自分がいるのです。これはバラたちや、口うるさい母親には絶対に内緒の秘密です(笑)。
バラを育てるということは、手はかかるし、文句は言われるし、お金もかかる、まるで手のかかる家族の世話を焼くようなものです。近年の気候では、せっかくきれいに咲いたお花がわずか2、3日でバタバタと一瞬で散ってしまうことも珍しくありません。
それでも、私たちがこのバラ沼から抜け出せないのはなぜでしょうか。それは、冬の凍える寒さの中でトゲに刺されながら誘引し、ヘルニアの痛みに耐えながらお世話をしてきた苦労のすべてが、春に彼女たちが一斉に咲き誇ったあの圧倒的な景観と香りで、一瞬にしてすべて吹き飛んでしまうからです。あの感動を知ってしまうと、どんなに大変でも、咲いた時の喜びは何物にも代えがたい最高のご褒美になってしまうのです。
私の庭はすでに141株という限界突破のキャパシティに達しており、地植えする場所も鉢を置くスペースもこれ以上はありません。雑誌を読んではもう増やさない、絶対に買わないと毎年のように自分に言い聞かせているのですが、きっと来年もホームセンターのセールや新品種の誘惑に負けて、なんとかスペースを捻り出しているのだろうなと、自分自身に半分呆れています。
庭造りやバラ栽培に正解はありません。プロのような完璧な管理はできなくても、一般の園芸好きとして、試行錯誤しながら自分だけの理想の景色を作っていくプロセスそのものが、何より楽しい時間です。
皆さんの庭では、今年はお花の持ちはいかがでしたか。「うちのエマも3日で散ってしまったわ!」とか、「洗濯物を干す前に、光が良いからってついつい撮影を始めてしまう!」といった、皆さんなりのバラ栽培のあるあるエピソードや、おすすめの品種があれば、ぜひコメントなどで教えていただけると嬉しいです。同じ苦労や喜びを共有できる仲間の声を聞くことが、私のヘルニアの腰痛への一番の特効薬になります。
それでは、皆さんも無理のない範囲で、素敵なローズライフをお過ごしください。
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