「もうバラは増やさない。絶対に。」
そう固く誓ったのは、いつのことだったでしょうか。
こんにちは、長年バラをこよなく愛し、庭づくりに励んでいる庭主です。このブログを読んでくださっているあなたなら、きっとこの気持ち、分かっていただけるはず。
私の庭にはこの春まで、88種類、113株のバラたちが咲き誇っていました。つるバラがアーチを飾り、シュラブローズがフェンスを彩り、木立バラが鉢植えで可憐に咲く。もう、物理的にも、私一人で管理する手間を考えても、庭は完全にキャパシティオーバー。そう、頭では分かっていたのです。
しかし、ある一つの出来事をきっかけに、私の固い誓いはもろくも崩れ去りました。気づけば、私の手元には9つの新しいバラ苗が…。そう、我が家のバラはついに97種類、122株の大台に乗ってしまったのです。
今回は、そんな私の後悔と、それを遥かに上回る至福の「言い訳」を聞いてください。そして、私を虜にした2025年の素晴らしい新品種たちの魅力と、育て方のポイントを詳しくご紹介します。
なぜ庭が限界なのにバラを買い足してしまったのか?
全ての始まりは、長年の主役を務めてくれていたバラ「真宙(まそら)」が、突然枯れてしまったことでした。ぽっかりと空いてしまった心と庭のスペース。ただその「1株」を補充するだけのつもりだったのです。
しかし、最新の品種カタログを一度開いてしまえば、もう止まりません。
「こんな美しい花色のバラが出たの?」
「この香りを庭で感じてみたい…」
「この子なら、あの寂しい場所にぴったりかもしれない…」
次から次へと溢れ出す欲望。それは、バラを愛する者の「宿命」なのかもしれません。大変だと分かっていても、それを上回る喜びやときめきを、新しいバラは与えてくれるのです。
さあ、前置きが長くなりました。ここからは、私の理性をいとも簡単に吹き飛ばした、罪深くも美しい9品種のバラたちを、詳細な育て方の解説と共にご紹介します。
2025年春、私を虜にした9つの新品種たち
1. デビッド・オースチン「ブリング・ミー・サンシャイン」
【作出年】: 2022年
【ブランド】: デビッド・オースチン(イギリス)
【系統】: S(シュラブ)/ イングリッシュローズ
【花色】: アプリコット
【花形】: ロゼット咲き
【香り】: 中香(ミルラ香)
【樹形】: 半つる性
【耐病性】: 強い
【魅力と特徴】
枯れてしまった「真宙」の後継者として、真っ先に心に決めたバラです。「私に太陽の光を運んできて」という名前の通り、温かみのあるアプリコットオレンジが庭をパッと明るくしてくれます。整った美しいロゼット咲きの花が房になって咲く姿は、まさに圧巻の一言。アーチをこの花で埋め尽くす日を夢見ています。ミルラ系の独特でスパイシーな香りも、イングリッシュローズならではの魅力です。
【育て方のポイント】
非常に強健で、耐病性も高い品種です。半つる性でしなやかな枝を持つため、アーチやオベリスク、フェンスなどへの誘引に向いています。日当たりの良い場所を好みますが、ある程度の半日陰でも育ちます。黒星病やうどんこ病には強いですが、風通しを良くし、予防的に薬剤を散布するとより安心です。冬の誘引時に古い枝や込み合った枝を整理し、元気なシュートを大切に育てていきましょう。
2. デビッド・オースチン「ダナヒュー」
【作出年】: 2023年
【ブランド】: デビッド・オースチン(イギリス)
【系統】: S(シュラブ)/ イングリッシュローズ
【花色】: アプリコット
【花形】: カップ咲き
【香り】: 中香(フルーツ香)
【樹形】: 半つる性
【耐病性】: 非常に強い
【魅力と特徴】
こちらは完全に「ついで買い」という名の衝動買いです。2023年発表の最新品種で、そのコロンとした愛らしいカップ咲きに一目惚れしました。花弁の外側がほんのり淡い色になるグラデーションが絶妙で、上品な雰囲気を醸し出します。フルーツとティーが混ざり合ったような爽やかな香りも魅力。最新品種だけあって耐病性は抜群とのことで、管理が楽なのも嬉しいポイントです。
【育て方のポイント】
「ブリング・ミー・サンシャイン」と同様に非常に強健で、初心者の方にもおすすめできる品種です。日当たりと風通しの良い場所で管理すれば、病気の心配はほとんどありません。半つる性なので、小さめのオベリスクに仕立てたり、鉢植えでコンパクトに育てることも可能です。繰り返しよく咲くので、花が終わるごとに花がらを摘み、定期的に追肥を行うと次々と花を楽しめます。
3. デビッド・オースチン「デスデモーナ」
【作出年】: 2015年
【ブランド】: デビッド・オースチン(イギリス)
【系統】: S(シュラブ)/ イングリッシュローズ
【花色】: 淡い桃色がかった白
【花形】: カップ咲き
【香り】: 強香(ミルラ香)
【樹形】: 木立性
【耐病性】: 非常に強い
【魅力と特徴】
前からずっと憧れていた、物語のあるバラです。シェイクスピアの悲劇のヒロインから名付けられました。その名に反して、性質は非常に強健。透き通るような白にほんのりピンクがのる花色は、どんな色のバラとも調和し、庭全体を上品な雰囲気にしてくれます。そして特筆すべきは、その素晴らしい香り。アーモンドの花やキュウリを思わせる、強烈で個性的なミルラの香りが庭に漂うのを想像しただけで、購入ボタンを押していました。
【育て方のポイント】
非常に育てやすく、日陰にも強いのが特徴です。コンパクトな木立性に育つため、鉢植えでの管理に最適。ベランダなど限られたスペースでも楽しめます。夏の西日など、強い日差しで花びらが傷むことがあるので、夏場は半日陰になる場所に移動させると良いでしょう。繰り返し咲き続けるので、定期的な追肥と花がら摘みを忘れずに行います。
4. コルデス「カインダブルー」
【作出年】: 2015年
【ブランド】: コルデス(ドイツ)
【系統】: HT(ハイブリッド・ティ)
【花色】: 藤色
【花形】: 丸弁抱え咲き
【香り】: 微香
【樹形】: 木立性
【耐病性】: 非常に強い
【魅力と特徴】
これも補充がきっかけでした。枯れてしまった紫バラ「リラ」の代わりに、ホームセンターで運命的な出会いを果たしたのがこの子です。「青バラは気難しい」という常識を覆した、ドイツ・コルデス社の傑作品種。とにかく強健で、雨による花シミも少ないのが最大の特徴です。透き通るような美しい藤色の花は、どこか神秘的で見る人の心を惹きつけます。この子なら、少し日当たりの悪いリラの跡地でも元気に育ってくれるはず、という期待を込めてお迎えしました。
【育て方のポイント】
青バラ系の中では群を抜いて育てやすい品種です。黒星病、うどんこ病ともに非常に強く、薬剤散布の回数を減らすことができます。木立性で樹勢も強く、まっすぐ上に伸びるので、鉢植えでも地植えでも育てやすいでしょう。日当たりの良い場所を好みますが、ある程度の耐陰性もあります。花もちが良いので、切り花としてお部屋で楽しむのもおすすめです。
5. コルデス「ストロベリーミスト」
【作出年】: 2022年
【ブランド】: コルデス(ドイツ)
【系統】: F(フロリバンダ)
【花色】: テラコッタレッド、裏弁は白
【花形】: カップ咲き
【香り】: 微香
【樹形】: 木立性
【耐病性】: 強い
【魅力と特徴】
「こんなお洒落なバラ、見たことない!」と一目惚れした品種です。花びらの表がテラコッタレッド、裏が白という、驚きのバイカラー(複色)。蕾が開くにつれて、その色のコントラストが息をのむほどの美しさを見せてくれます。見る角度や光の当たり方で表情が変わり、一株で何度も楽しめるのが魅力。コンパクトな木立性なので、玄関先でウェルカムローズとして育てるのにぴったりだと思いました。
【育て方のポイント】
こちらもコルデス社作出だけあり、耐病性に優れています。フロリバンダ系統なので、房になってたくさんの花を咲かせます。花が終わったら、房ごと切り戻すことで次の花が上がりやすくなります。コンパクトな樹形なので鉢植え向きです。根詰まりを防ぐため、1〜2年に一度は一回り大きな鉢に植え替えるか、土を入れ替えてあげましょう。
6. ロサオリエンティス「ルクソール」
【作出年】: 2024年
【ブランド】: ロサオリエンティス(日本)
【系統】: F(フロリバンダ)
【花色】: 茶色
【花形】: カップ咲き
【香り】: 微香
【樹形】: 木立性
【耐病性】: 非常に強い
【魅力と特徴】
日本の育種家、木村卓功さんのブランド「ロサオリエンティス」の最新品種です。この絶妙なブラウンカラーに心を奪われました。シックでアンティークな雰囲気は、庭全体をぐっと引き締め、洗練された印象にしてくれます。少しうつむき加減に咲くカップ咲きも奥ゆかしく、他のアプリコット系や白系のバラと合わせると、素晴らしいコントラストを生み出してくれそうです。日本の気候でテストされているため、育てやすさはお墨付きです。
【育て方のポイント】
日本の高温多湿な気候でも病気に非常に強く、無農薬や低農薬での栽培も目指せるほど強健です。コンパクトな木立性でまとまりが良いため、鉢植えでの栽培に非常に向いています。夏の暑さにも比較的強いですが、鉢植えの場合はコンクリートの照り返しなどを避け、涼しい場所で管理すると株が弱りません。
7. デルバール「ル・タン・デ・スリーズ」
【作出年】: 2022年
【ブランド】: デルバール(フランス)
【系統】: S(シュラブ)
【花色】: 赤紫〜赤
【花形】: ロゼット咲き
【香り】: 強香(フルーツ香)
【樹形】: 半つる性
【耐病性】: 強い
【魅力と特徴】
「さくらんぼの実る頃」という詩的な名前を持つ、フランス・デルバール社のバラ。咲き始めの赤紫色から、咲き進むにつれて鮮やかな赤へと変化していく花色がとてもドラマチックです。そして何より、ラズベリーやイチゴを思わせるフルーティーで甘い香りが素晴らしい。名前、花色、香りと、すべてが私の好みにぴったりでした。半つる性なので、フェンスを華やかに彩ってくれることを期待しています。
【育て方のポイント】
耐病性も高く、育てやすいシュラブローズです。枝はしなやかで誘引しやすく、オベリスクやフェンスに最適です。日当たりを好みますが、香りを長く楽しむためには、午後の強い日差しが避けられる場所が理想的。うどんこ病には比較的強いですが、黒星病の予防は定期的に行うと良いでしょう。
8. デルバール「アレキサンドラ・ダビッド・ニール」
【作出年】: 2023年
【ブランド】: デルバール(フランス)
【系統】: S(シュラブ)
【花色】: 紫ピンク
【花形】: 波状弁ロゼット咲き
【香り】: 強香(シトラスとローズ)
【樹形】: 半つる性
【耐病性】: 強い
【魅力と特徴】
女性探検家の名前を持つ、情熱的でゴージャスなバラ。紫がかったピンクの波打つ花弁が幾重にも重なる姿は、まるでドレスのよう。そして、柑橘系とローズが混じり合う、非常に個性豊かで強い香りを放ちます。その存在感は圧倒的で、庭の主役になること間違いなし。このユニークな美しさと香りに抗うことはできませんでした。
【育て方のポイント】
こちらも強健で育てやすい品種です。樹勢が強く、シュートが良く伸びるので、つるバラとしてフェンスや壁面に大きく育てるのに向いています。花をたくさん咲かせるには、冬の剪定と誘引で枝をできるだけ水平に倒してあげることがポイントです。日当たりが良い場所で育てると、花色も香りもより一層豊かになります。
9. 河本バラ園「コンフィチュール」
【作出年】: 2020年
【ブランド】: 河本バラ園(日本)
【系統】: F(フロリバンダ)
【花色】: アプリコット
【花形】: カップ咲き
【香り】: 強香(フルーツ香)
【樹形】: 木立性
【耐病性】: 普通
【魅力と特徴】
最後は、日本の河本バラ園が生んだ、名前からして美味しそうなバラ「コンフィチュール」。フランス語で「ジャム」を意味する名の通り、こっくりと甘いアプリコットオレンジの花色がたまりません。コロンとしたカップ咲きの花は、フルーツ系の甘い香りを漂わせ、まさに「香りのジャム」。河本バラ園特有の、ふんわりと優しい草姿も魅力で、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。
【育て方のポイント】
繊細な花姿に反して、比較的育てやすい品種です。コンパクトな木立性なので、鉢植えで管理するのがおすすめです。黒星病やうどんこ病への耐性は普通レベルなので、特に梅雨時期などは、雨に当てないようにしたり、定期的な薬剤散布で病気を予防してあげることが大切です。花がらをこまめに摘むと、次々と花を咲かせてくれます。
バラを育てるということ - 人生に彩りを与える趣味
97種122株。数字だけ見れば、管理の大変さに気が遠くなることもあります。冬の剪定・誘引、春からの病害虫対策、夏の水やり…。手間がかかるのは事実です。
しかし、なぜ私たちはバラを買い、育て続けるのでしょうか。
それはきっと、バラが与えてくれるものが、大変さを遥かに上回るからに他なりません。蕾がほころぶ瞬間のときめき。庭中に広がる甘い香り。季節の移ろいと共に変化する庭の景色。それらすべてが、私たちの日常に彩りと喜び、そして「明日への楽しみ」を与えてくれます。
後悔と至福はいつも隣り合わせ。この「バラの沼」は、きっと私にとって生涯の楽しみなのだと、9つの新しい苗を眺めながら改めて思う今日この頃です。
皆さんの庭には、どんな素敵なバラが咲いていますか?あなたの「バラの沼」エピソードも、ぜひコメントで教えてくださいね。
ブログ バラを中心にガーデング情報や買い物紹介などの雑記ブログ。2011年開設。
https://02memo.seesaa.net/
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