アラーナ(ジャックマニー系 新枝咲き)。クレマチス
クレマチス ‘アラーナ’ 育て方完全ガイド|心を奪うルビーレッドの女王
「つる植物の女王」と称されるクレマチス。その中でも、ひときわ目を引くベルベットのような深紅の花を咲かせる品種がクレマチス ‘アラーナ’ (Clematis 'Allanah') です。
「こんなに美しい花、育てるのが難しいのでは…?」
「クレマチスは剪定が複雑だと聞いて、手が出せないでいる」
もしあなたがそう思っているなら、この記事はまさにあなたのためにあります。実はこの‘アラーナ’、息をのむほどの美しさとは裏腹に、驚くほど強健で育てやすく、クレマチス初心者にも自信をもっておすすめできる品種なのです。
この記事では、‘アラーナ’の基本的な魅力から、植え付け、日々の管理、そして栽培の最重要ポイントである「剪定」まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。読み終わる頃には、あなたもきっとルビーレッドの女王を、ご自身の庭へお迎えしたくなっているはずです。
クレマチス「アラーナ」とは?基本情報と3つの魅力
まずは、この美しいクレマチスが一体どんな植物なのか、そのプロフィールと特筆すべき魅力をご紹介します。
基本情報
系統:ジャックマニー系(遅咲き大輪系)
花色:深みのあるルビーレッド、ベルベットのような質感
花径:約12cm~18cm(大輪)
開花期:5月~10月(主に初夏と秋)
つるの長さ:2.0m~3.5m
咲き方:新枝咲き(その年に伸びた新しいつるに花が咲く)
剪定:強剪定(冬に地際近くで強く切り戻す)
耐寒性:強い
耐暑性:比較的強い
作出:1968年、ニュージーランド
魅力①:吸い込まれるような「ルビーレッド」の花色
‘アラーナ’の最大の魅力は、なんといってもその花色にあります。ただの「赤」ではありません。光を受けると輝くようなルビー色、日陰では深みを増すクリムゾン色。ベルベットの生地を思わせるしっとりとした質感の花弁は、高級感と生命力に満ち溢れています。
花の中心にある花芯(しべ)は、花弁よりもさらに濃いバーガンディ色。この花芯が全体を引き締め、シックで情熱的な印象を完成させています。洋風の庭はもちろん、和風の庭やモダンな空間にも不思議と調和する、普遍的な美しさを持つクレマチスです。
魅力②:初心者でも安心!驚くほど「強健で育てやすい」
「美しい花には棘がある」と言いますが、‘アラーナ’には当てはまりません。この品種が属する「ジャックマニー系」は、原種の強健な性質を受け継いでおり、病気に強く、日本の気候にもよく適応します。
そして何より、クレマチス初心者が最もつまずきやすい「剪定」が非常にシンプルなのです。‘アラーナ’は「新枝咲き」という性質のため、難しいことを考えずに冬にバッサリと強く切り戻すだけでOK。この「強剪定」については、後ほど詳しく解説しますが、この管理の単純さが、‘アラーナ’が世界中で愛され続ける大きな理由の一つです。
魅力③:初夏から秋まで長く咲く「返り咲き性」
クレマチスには一季咲きの品種も多い中、‘アラーナ’は非常に返り咲きしやすい性質を持っています。
まず初夏(5月~6月頃)に一番花が見事に咲き誇ります。そして、花が終わった後に軽い剪定と追肥を行うことで、夏から秋にかけて二番花、三番花を次々と咲かせてくれるのです。春のバラの季節から、庭が少し寂しくなる夏、そして秋の澄んだ空気の中まで、長い期間その美しい姿で庭を彩ってくれるのは、ガーデナーにとってこの上ない喜びと言えるでしょう。
【実践編】アラーナの育て方パーフェクトガイド
それでは、実際に‘アラーナ’を育てるための具体的なステップを見ていきましょう。一つひとつのポイントを丁寧に行えば、誰でも見事な花を咲かせることができます。
植え付け:成功への第一歩
クレマチス栽培は、最初の植え付けが非常に重要です。
時期:真夏と真冬を除いた、生育が穏やかな時期(3月~5月、9月~10月が最適)。
場所:「頭は太陽に、足元は日陰に」がクレマチスの栽培環境の鉄則です。つるが伸びていく先は日当たりと風通しが良い場所を選び、根元には直射日光が当たり続けないようにします。建物の東側や、株元に他の植物(ホスタや宿根ゼラニウムなど)が植えてある場所が理想的です。
用土:水はけと水もちの良い、肥沃な土を好みます。市販の「クレマチス専用土」を使うのが最も手軽で確実です。自分で配合する場合は、「赤玉土(小粒)6:腐葉土4」などが基本の配合です。
植え方(最重要ポイント):クレマチスは「深植え」が基本です。買ってきた苗の根鉢を崩さずに、現在の土の表面よりも5cm~10cm(1~2節分)深くなるように植え付けます。
なぜ深植え? これにより、地中に埋まった節から新しい芽や根が出やすくなります。万が一、地際でつるが折れたり、「立ち枯れ病」で地上部が枯れたりしても、地中の芽から復活できる可能性が格段に高まるのです。これは‘アラーナ’を守るための「保険」のようなものです。
日常の管理:水やりと肥料
水やり:
鉢植えの場合:土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。特に生育期や開花期は水切れに注意してください。
庭植えの場合:植え付け直後と、雨が降らずに乾燥が続く夏場以外は、基本的に水やりの必要はありません。
肥料:
元肥(寒肥):2月頃、冬の剪定と同時に、株元にゆっくり効く有機質肥料や緩効性化成肥料を施します。
追肥:春に新芽が伸び始めてから、花が咲き終わる秋まで、月に1~2回のペースで液体肥料を与えるか、2ヶ月に1回程度のペースで緩効性化成肥料を施します。花をたくさん咲かせる分、エネルギーを多く消費するので、定期的な追肥を忘れないようにしましょう。
剪定:アラーナ栽培の最重要ポイント
ここが‘アラーナ’栽培のハイライトです。難しく考えず、ポイントを押さえましょう。
剪定のタイプ:強剪定(グループ3)
冬の剪定(本剪定):
時期:2月~3月上旬。新芽が動き出す少し前がベストタイミングです。
方法:地際から数えて2~3節(ぷっくりと膨らんだ芽が確認できる節)を残し、そこから上をすべてハサミで切り落とします。「こんなに切って大丈夫?」と不安になるくらい、思い切ってバッサリと切るのが成功のコツです。この作業により、春には地際から力強い新芽が何本も発生し、それらが伸びてたくさんの花をつけます。
花後の剪定(返り咲きのため):
時期:一番花が咲き終わった後。
方法:咲き終わった花から1~2節下で切り戻します。同時に追肥を行うことで、株の体力が回復し、次の開花の準備が促されます。
誘引:美しく仕立てる技術
つるを美しく伸ばすための「誘引」も楽しみの一つです。
方法:つるが伸びてきたら、こまめに支柱やフェンス、オベリスクなどに麻ひもなどで優しく結びつけます。つるは自然に絡まろうとしますが、全体にバランス良く広がるように、人の手で少し手助けしてあげましょう。
アイディア:
オベリスク仕立て:鉢植えでも庭植えでも楽しめる定番の仕立て方。螺旋状に巻きつけると立体的になります。
フェンスやトレリス:壁面を彩るキャンバスのように、つるを扇状に広げて誘引します。
つるバラとの共演:開花期が近い白やピンクのつるバラと絡ませると、プロのガーデナーのような見事な景観を作り出せます。
よくある質問とトラブルシューティング(Q&A)
ここでは、‘アラーナ’を育てる上でよくある疑問や悩みにお答えします。
Q1. 数年経っても花が咲きません…
A1. いくつかの原因が考えられます。
日照不足:1日に最低でも5~6時間の日照が必要です。場所を見直してみましょう。
肥料不足:特にリン酸分が不足すると花つきが悪くなります。春からの追肥を徹底してみてください。
根詰まり(鉢植えの場合):2~3年に一度は、一回り大きな鉢に植え替えを行いましょう。
Q2. 葉っぱが黄色くなってきました…
A2. 主に水の過不足か、肥料の過不足が原因です。
水のやりすぎ:土が常にジメジメしていると根腐れを起こします。水やりの頻度を見直しましょう。
栄養不足:特定の栄養素(窒素やマグネシウムなど)が不足している可能性があります。バランスの取れた肥料を与えてみてください。
Q3. 元気だったつるが、急にぐったりとしおれてしまいました!
A3. それは「クレマチス立ち枯れ病」の可能性が高いです。地際の茎に傷がついたり、土壌が過湿になったりすると発生しやすい病気です。
対処法:残念ながら、一度しおれたつるは元に戻りません。すぐに根元から切り取り、他に広がらないように処分してください。
最大の予防策:植え付け時の「深植え」です。深植えしてあれば、たとえ地上部が枯れても、土に埋まった節から新しい芽が伸びてきて、株全体が復活する可能性が非常に高くなります。
アラーナを120%楽しむ!他の赤色系品種との比較
‘アラーナ’の個性をより深く知るために、他の人気の赤色系クレマチスと比較してみましょう。
アラーナ (Allanah)
花色:鮮やかなルビーレッド。 花形:丸弁の星形、大輪。 剪定:強剪定。 系統:ジャックマニー系。 特徴:バランスの取れた花形と育てやすさが魅力。
ニオベ (Niobe)
花色:咲き始めは黒に近いダークレッド。 花形:剣弁でシャープな印象、大輪。 剪定:弱剪定(古い枝にも咲く)。 系統:ジャックマニー系。 特徴:ドラマチックな花色の変化が楽しめます。
マダム・ジュリア・コレボン (Mme Julia Correvon)
花色:明るいワインレッド。 花形:花弁が反り返る、中輪。 剪定:強剪定。 系統:ヴィチセラ系。 特徴:圧倒的な多花性と強健さを誇ります。
このように比較すると、‘アラーナ’は「大輪の華やかさ」と「強剪定の管理のしやすさ」を両立している、非常にバランスの取れた優良品種であることが分かります。
まとめ:さあ、あなたもルビーレッドの女王を庭へ
クレマチス ‘アラーナ’について、その魅力から具体的な育て方、トラブル対処法まで、徹底的に解説してきました。
最後に、‘アラーナ’の魅力をもう一度おさらいしましょう。
心を奪う、ベルベットのようなルビーレッドの大輪花
初心者でも安心の、強健でシンプルな「強剪定」
初夏から秋まで、長く楽しめる豊かな返り咲き性
‘アラーナ’は、クレマチス栽培の醍醐味である「育てる喜び」と「咲かせる感動」を、最もストレートに味あわせてくれる品種の一つです。この記事をガイドブックとして、ぜひあなたの手で、ルビーレッドの女王を庭に咲かせてみませんか?その一輪は、きっとあなたのガーデンライフを、より一層豊かで情熱的なものに変えてくれるはずです。
再生リスト
再生リスト クレマチス
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